修行時代、コンソメを毎日仕込んでいました。
牛すねを骨ごと4本仕入れると、骨をそれぞれ四つに鋸で切り
すね肉は適度な大きさに切りさばきます。総重量は数十キロになります。
牛すね肉の味は一本一本違うのですが4本位を使ってコンソメを作ると
味のバラツキが無いコンソメが出来上がります。
一日目は切りさばいたら冷蔵庫にしまっておきます。
二日目になると大きな釜で10時間近く煮だします。
それを濾してしばらく沸かしながら丁寧に脂を取り除きます。
二日目はここまでです。
三日目は澄ますという作業にとりかかります。
初日、仕入れた牛すね肉の筋や脂のない部分をこの日までとっておきミンチにし、
細かく切った野菜(玉ねぎ、人参、パセリ、セロリ)と一緒に卵白と合わせます。
それを使ってコンソメを澄ませるのです。
卵白を多く使えば澄ませるのは比較的容易ですが
卵白はアクだけでなくコンソメの旨みも吸ってしまうのです。
ですからギリギリの卵白量でコンソメを澄ませる技術が必要です。
この技術次第でコンソメの味が変わってしまいます。
この澄ませたコンソメを何重にも重ねたサラシを使って濾します。
次にこのコンソメをいくつもの鍋に分配しさらに煮詰めていき最後に合わせ、
最高のコンソメスープ(コンソメドゥーブル)に仕上げます。
そうやってお昼の営業に間に合わせるのです。
ここまで高品質のコンソメは、それ以後どのレストランでも見る事がありませんでした。
業務用のコンソメでは、この味は絶対出せないのです。料理人としてこの最高の味を知る事が出来たのは嬉しいかぎりです。
文字だけでは味気ないので当店の料理をのせておきます。